公開講座を終えて 当院長からのメッセージ
此の度は公開講座へ多数の方にご参加いただきありがとうございました。患者様、そのご家族に加え、医療現場でがん医療に携わっておられる医療者の方々のご参加もいただいておりました。
参加者の皆様からは、中村祐輔先生の目指しておられるがんプレシジョン医療が、最新の遺伝子解析技術を駆使して得られたデータを使って、必要としている患者さんに最適な治療法を必要な時にいつでも提供できることを目標にした、徹底的に患者さんサイドに立ったものであること。また、それが先生の外科医師としての経験に裏打ちされた患者さんを何とかして治したいという医師としての熱い想いに根差したものであるという、中村先生の温かい人間性に、とても感動したという感想が多数寄せられました。主催した私もまた、志を全く同じくする元外科医の一人であります。
現在のがん拠点病院で提供される医療はがん治療ガイドラインに則った標準的医療の枠の中にあるものに限られ、ガイドラインから外れるものはエビデンスがないからと一蹴されます。しかしエビデンスとして、臨床試験で少しの優位性があった薬剤だけが意味のある治療法だと金科玉条のように振りかざす日本のがん医療は、猛烈な勢いで革命的に進みつつある世界の医療レベルから取り残されていく一方です。
この現象に警鐘を鳴らし、立ち遅れた日本のがん医療を立て直そうと、リキッドバイオプシーやネオ抗原遺伝子解析に基づいたデータをもとに、完全に個別化したがん医療を推進していこうと旗揚げされた中村先生と想いを一つにして、当院ではネオ抗原ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法を2017年から試験的に開始し、2022年現在までにネオ抗原樹状細胞ワクチン療法に関する5本の英語論文を発表しています。
患者さんも、患者に寄り添う姿勢を持つ第一線のがん専門医がいることに希望の光を見出せた。自ら学ぶ姿勢が大事であり知識を深めていく努力をしたいと決意をあらたにされていました。
治りたいと切に願う患者に対して、なんとか治してやりたいと思う医師の想いこそがこれからの日本のがん医療を推進していく力であることは間違いありません。今回の講演会で日本のがん医療のトップランナーである中村祐輔先生の熱い想いに触れ、希望をもてたと喜びの声も多く寄せられました。