活性化自己リンパ球療法

当院で行う活性化自己リンパ球療法

当院の活性化自己リンパ球療法に用いる細胞は、患者さんの血液中のTリンパ球(CD4・CD8)、γδTリンパ球、NK細胞などの免疫細胞をインターロイキン2とOKT3という薬剤で活性化し、増殖させた細胞です。

薬剤で活性化されたTリンパ球の表面には、がん細胞表面に出ているストレス抗原を見つけて結合するアンテナとなるNKG2DやDNAM-1が多数発現しますが、これが最も重要な活性化の指標(マーカー)で、これは活性化γδTリンパ球や活性化NK細胞にも共通して発現します。治療の際には、このNKG2DやDNAM-1の発現率をフローサイトメトリーで解析してTリンパ球やNK細胞の含有比率をグラフ化したものを、院長が患者さんに示して説明しています。

治療用に培養され活性化された細胞の構成比率は患者さんにより異なりますが、凡そ70~80%が活性化Tリンパ球、残りが活性化NK細胞やγδTリンパ球です。

活性化自己リンパ球について

活性化自己リンパ球
活性化後に免疫細胞の表面に表れたアンテナ(NKG2D、BDNAM-1)とがん細胞の表面抗原のイメージ

活性化自己リンパ球療法のエビデンス

1985年、活性化リンパ球療法を世界で最初に報告したのは、米国がん研究所所長のロゼンバーグ博士です。それから30年を経た現在、世界中で臨床応用が進んできています。
日本では、1996年に活性化自己リンパ球のがん性腹水への注入療法が高度先進医療として認められた後、がんセンターや大学等において先進医療Aないし臨床試験として行われており、民間医療施設においては、再生医療等安全性確保法(2014年11月施行)の下で第三種再生医療との枠組みの中で自由診療の扱いで施行されています。

国外では、欧米諸国、中国などにおいて、現在、数多くの活性化リンパ球療法の臨床試験が行われています。がんの手術後の再発予防における単独での効果や化学療法との併用療法での臨床試験の結果も、数多く報告されています。

日本からも2015年、千葉県立がんセンターの木村医師らが、肺がん術後における化学療法単独治療と、樹状細胞ワクチン+活性化リンパ球療法と化学療法との併用療法についての臨床比較試験結果を報告しており、樹状細胞ワクチン+活性化リンパ球併用群の5年生存率が、化学療法のみの群に比較して統計学的に高いことを報告しています。