樹状細胞刺激活性化自己リンパ球療法

当院で行う樹状細胞刺激活性化自己リンパ球療法

樹状細胞ワクチンを作成した後に、体外で患者さんのリンパ球を加え、CTL(がん抗原特異的Tリンパ球)を刺激し、その後、インターロイキン2で増殖させた細胞(CTL活性化Tリンパ球、活性化NK細胞が混在)を患者さんに戻す新しい免疫細胞療法です。

活性化自己リンパ球療法に類似した方法ですが、活性化自己リンパ球との違いは、がん抗原に対する特異性の高いTリンパ球であるCTLが多く含まれることです。

世界的には臨床応用が始まって間もない新しい方法ですので、臨床試験のデータがまだ少なく、従来の活性化自己リンパ球療法よりも優位であるとの臨床効果の証明はされていませんが、樹状細胞ワクチンを介在させているので理論的にはより優れた方法と考えます。

樹状細胞刺激活性化リンパ球の培養プロセス

樹状細胞刺激活性化リンパ球の培養プロセス

樹状細胞刺激活性化自己リンパ球療法のエビデンス

活性化自己リンパ球療法や樹状細胞ワクチン療法との比較試験はないため、その有効性の優劣についてのデータはまだありません。

これまで、自己がん蛋白や人工がん抗原ペプチドを添加した樹状細胞で刺激活性化したリンパ球を用いた臨床試験は、世界中で10余り報告されており、今後更に増えてくるものと思われます。

2008年、米国のHunderらは、一流の英文医学ジャーナルの「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」(The New England Journal of Medicine)でNY-ESO-1という人工抗原ペプチドを添加した樹状細胞でリンパ球を刺激・培養した細胞を投与することでメラノーマの完全消失した例を発表しています。